初心者の踊り
昨日から続く。
さて、状況がいま一つわからないまま、振りも覚えきれないまま、当日を迎えたわけだが、行ってみると公園の小さな野外劇場で、地域のお祭りのような催しだった。各種の歌あり、踊りあり、パフォーマンスあり。うちの舞踊教室の演目は、才人庁基本舞クッコリチュム(チュム=踊り)とアリランである。
才人庁とは、李朝朝鮮時代にあった祭祀や芸能を司る役所で、宮中や民間に伝わるさまざまな踊りを整理して後世に伝える役割も果たした。私の先生はこの流れを汲んでいる。
才人庁の踊りの多くは、おそらく朝鮮時代よりずっと古い起源をもち、儒教や仏教というよりも何やらアニミズムの匂いがする。詳しくはよくわからなのだが、基本舞では天や地や人の仕業を象徴的に示した動作が満載で、私は「携帯宇宙」と勝手に理解にしている。踊り手がいればどこにいても宇宙を再現できる、という役割を果たしていたんじゃないかと思うから。
さて、このように古い起源をもつ踊りを踊るのは、私には思った以上に良い経験だった。なんだか、体にパワーが満ちてくるのだ。毎日寝る前にちょっと踊るだけで、目に見えて健康になった。そして、何より楽しい。
しかし、基本舞といえどもなかなか踊るのは難しい。何が難しいって、まず上手に踊る以前の問題として、振りを覚えるのが難しい。現代の音楽やダンスのように、繰り返しのある対称的なつくりではなくて、全体に構成が不規則で非対称的で、しかも一曲が長いのだ。
あまりにも覚えられないのでたまりかねて、細切れに先生に手本を踊っていただいてビデオにとり、家でじっくり見て練習していたのだが、今日のクッコリチュムはビデオ撮りが最後まで到達しないで公演の日を迎えてしまった。
アリランはもっと現代的で、振り自体は古来の踊りより簡単なはずなのだが、いつもあまり練習時間を取らず、しかも3番はつい最近初めて習ったので全然覚えきれていない。
公演のメンバーは9人でベテランのお弟子さんと初心者が半々ぐらい。私だけでなく初心者組は振りを覚えきれていないことが最後の稽古の時わかったが、皆衣装に着替えて化粧をしたら和やかにだらだらしている。私も今更じたばたしてもしょうがないので一緒にだらだら待機。
さて、あと少しで出番というとき、誰かが「アリランの3番がわからないのだけど・・・」と言い出した。心の中で「どこまで、ぎりぎり好き?」と密かにつっこむ。ベテランのお弟子さんが「ええっ、今?」という顔をしながらも教えてくれ始めたが、「出番です」という声が。
バックステージに行くとまだ前の出演者が歌っている。すると、先生が「これは一回練習できる」と断言し、急きょみんなで外に出て一回早回しで通し稽古をすることに。ぎりぎり好きもここまで来るとすごい。
早回しだったので振りを覚えるのに足しになったとはいえないが、私は何だかもう楽しくなってしまった。そのまま、ステージに出ると、近所の人々がリラックスして観覧しているのが見えた。まったく緊張せず、最後まで楽しく踊りきることができた。
(クッコリチュムはステージの上でやっと全部覚えました。)









Recent Comments